大人のための

こういう仕事をしていると、お客様のオーダーで
季節の変わり目を感じることが多い。
桜のピークを過ぎた辺りから
徐々にアイスコーヒーの注文が増えてきた。

当店のアイスコーヒーは専用器具を用いて
一滴、一滴、手間を掛けた水出しである。

ベースは、アフリカのスペシャルティを
メインに配合した 「ダーク240℃ブレンド」 だ。

一口含むと、芳醇なビターチョコ感に包まれ
ナッティーな風味が口いっぱいに広がる。
そして赤ワインを思わせるフルーティーな
酸味と甘味が余韻となって消えていく。

私がこのアイスコーヒーを完成させたのは
ダンアロマを開店する時だった。その後も
フルーティー感をアップさせるなどの調整は
行っているが、今でも本質は変わらない。

ダンアロマは広くて長いカウンターのみである。
ダークウッドを基調として、壁紙はウイリアム
モリス、シャンデリア類はアンティークの
ミューラーで揃えた。
そのまま高級BARとしても使える内装だ。

当時、完成したばかりのカウンターに座り
この空間に似合うアイスコーヒー、
BARでグラスを傾けるように、氷を溶かしながら
楽しめる 大人のためのアイスコーヒーを
提供しようと考えた。

写真は MAMALAID RAG の田中くんが
ダンアロマで音楽誌の取材を受けた時の
ものだが、まさにこのイメージである。

そして氷が溶けてゆく過程を楽しめるように
やや濃度もある。嗜好品の味わい方を
知っている大人であれば問題はないと思うが、
子供が飲んでしまうと、単に濃い、苦いとしか
感じられないかもしれないので要注意。
私の思いを受け止めるにはまだ早過ぎる。(笑)

子供の頃に味わったコーヒーはほろ苦く、
始めてブラックで飲めた時に、少し大人に
なれた気がした。
旨みを伴うコクと円やかな苦味からは
そんな懐かしい思い出が甦るかも知れない。
 
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