厄介な職業

焙煎で味は変わらないという人に出会ったが
そんなことはない。

それなら私が悩み苦労している意味がないし
ローストマスターズチャンピオンシップなどという
焙煎技術を競う大会もありえない。

おそらく、私にそう告げた人は焙煎によって
生豆の持つポテンシャル以上にはならないと
言いたかったのかもしれない。しかしそれが曲者なのだ。

私が焙煎を始めた十数年前は、沖縄サミットで
コーヒーを振舞ったバッハの田口氏の焙煎を
手本にし、一回当たり20〜25分前後、
場合によっては30分弱掛けていた。

その後、参考にしたカワンルマーの小野氏も
同じく20〜25分前後だったと思う。

ところが最近は良い生豆が入手できるようになり
焙煎スタイルも様々になって来た。

昨年のローストマスターズチャンピオンシップ
優勝グループの焙煎時間は13分前後で、昔に比べると
随分短い。冷却時間まで入れても15〜16分程度だろう。

今の私は豆の持ち味を精一杯引き出し、円やかさの
中にも風味特性がはっきり分かる焙煎を心がけているが
生豆のポテンシャルを最大に引き出す焙煎法は
未だ模索中で完璧な決定打は見つけられていない。

いや、多分一生見つからないだろう。
"これがこの豆の最大の持ち味です "なんて
誰にも分からないから、常に最高を目指すしかない。
完璧主義の私にとって本当に厄介な仕事である。
 
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