談、あろま

第七話 「美味しく淹れよう、非常識に!」 紅茶パートW
皆様こんにちは、今回は紅茶シリーズの「パートW」です。「歴史なんていいから、早く美味しい紅茶の淹れ方を教えろー!」「また続くとは、引っ張るねー」ときついお言葉を浴びながら、ようやくここまで来ました。これ以上引っ張ると、当店には怖いお客様がたくさんいらっしゃいますので(^_^;)、今日こそは、最後までお話しをさせて頂きます。

前回、イギリスでも日本でも、使用している茶葉にそれ程大きな違いは見られないようですが、では、いったい何が味に影響しているのでしょうか?というところまでお話しをしたと思います。

さて、今回はその続きです。茶葉でないとすれば、あとは大きく分けて、淹れ方による違いと、お水による違いがありますね。

まず淹れ方を見てみましょう。

こんな話を聞いたことがあります。
「イギリスといっても紅茶のいれ方は本当に雑で、私たちが番茶を急須に放り込んでいれるのと同じ感覚なんです。伝統を重んじ、優雅に飲むこともありますが、年中やっているわけではなく、ティーバッグも使っているし、むしろ、その方が多いくらいです。それに比べ、日本の紅茶はとても神経質にいれていて、心がこもり、イギリスよりずっと丁寧だと思いますよ」
う〜ん、そうですか、、、。このお話からすると、淹れ方が原因ではないようですね。

次はお水についてですが、世界的に見ても日本のお水は美味しいと有名です。ということは、これも問題ないのでしょうか。

でもどこかが、何かが違うはずです。同じように淹れてもなかなか真似の出来ないものってなんでしょう。

それは、「お水」そのものです。イギリスの水と日本の水の大きな違い、硬水と軟水にあります。

硬水か軟水かは、水に溶けている酸化カルシウムの量で決まります。酸化カルシウム量が多い水を硬水、少ない水を軟水といいます。硬水の中には、酸化カルシウム以外にもマンガン類やイオウ、マグネシウム、鉄分などが含まれています。これらのさまざまな成分が紅茶の渋みとなるタンニンの溶け出しを抑えてくれるのです。おそらくイギリスのお水は紅茶にぴったりあっているのでしょう。だからイギリスで紅茶がこれほど発展したのだと思います。(でも、私の経験からすると、珈琲は硬水に合わないような気がします、これについては、また次に機会があればお話し致しますが、、、。)

私の実験で、熱々の硬水の中に紅茶葉を入れ、しばらく放っておいたところ、それ程渋くなく、意外と飲めちゃいました、これが、、、。ところが、熱々の軟水の場合、3分も置いておくと、こちらはもう渋々なんですね。

東洋学園女子短期大学の「林 望」(はやし のぞむ)助教授の書かれたものの中に次のような文章があります。

概してイギリスでは紅茶は呆れるほど安く、びっくりするほど豊富に種類があってしかもどれもたいてい素晴らしくおいしいのである。(イギリスのお茶がおいしいことについては、この国の水が非常な硬水であって、茶の中の苦味や渋みが溶け出さないということもひとつの原因があるのだろうと思うのだが、そのことはここでは深く追求しないでおくことにしよう)とあります。

そうなんですね、どの紅茶の本を読んでも、紅茶に硬水は合わないなんて書いてありますが、実際にはそうでもないんですね。硬水をうまく利用することによって渋みを抑えたまろやかな紅茶を淹れることができるのです。

林助教授もこのことに関しては、「ここでは深く追求しないでおくことにしよう」と、言葉を濁してあります。紅茶は軟水が美味しいということが、もう常識のように言われ、書かれていますので、それに対して否定的な発言は、やはり気をつかうのでしょう。

今、スーパーでもコンビニでもいろいろなお水を買うことができます。ぜひ貴方の味覚に合うお気に入りの硬水を探してみて下さい。

では、ダンアロマではお水を選んでいるのですか?といわれると実は水道水です。軟水ですね。(もちろん浄水機は通していますが)「な〜んだ、うそつき!」って言わないで下さい。当店には珈琲もあるのです。先ほど珈琲には硬水がいまひとつ合わないと触れました。珈琲は基本的に水道水(軟水)が良いようです。そこで、当店ではこの軟水を使って紅茶も美味しく淹れる方法を研究しました。渋みの元であるタンニンを硬水は抑え、軟水だと出過ぎてしまう、ということは軟水でタンニンを抑えることができれば、もともと日本のお水はとても美味しいのですから、美味しい紅茶を淹れることができそうですよね。

そこで考えました。イギリスのお水が紅茶ととても相性が良く、これほどまでに紅茶が栄えたのであれば、日本で文化を作っている飲み物は何だろう?

そう、日本といえば日本茶ですね。日本茶が日本文化にもっとも根付いているということは日本のお水に合っているのでしょう。その上に日本人はもっと美味しく飲むため考えました。結果、淹れる温度を変え、素材のよい玉露などは、ずっと低い温度で淹れるようになったのです。低温は素材の持ち味を壊すことなく、まろやかな甘味のある味を作り出します。これは紅茶を淹れるのにも利用できます。

林助教授は、次のようなことも書かれています。
日本の喫茶店の紅茶が飲むに堪えない「まずさ」であることの原因は、(中略)煮えくりかえった熱湯で淹れるのだから、とあります。(きっとこの林助教授、そのあたりの紅茶専門店のスタッフより、ずっと美味しい紅茶をお淹れになると思います)

そうなんです、煮えくりかえった熱湯で淹れるということは、茶葉を煮込んでいるようなものなのです。

しかし、このガンガンに熱い、沸騰したお湯で紅茶を淹れるということも残念ながら、常識になっています。この淹れ方を本などでは堂々と「ゴールデンルール」なんていっていますが、日本の軟水でこれはむちゃです。何度もいいますがイギリスのお水だからこそできたことであり、イギリスでこれほど紅茶が栄えたのは、お水との相性が実に良かったということが、大きな要因のひとつであるといえるのです。

さあ皆さん!本などの常識にとらわれずに自由に淹れてみましょう。硬水もいっぱい使ってみましょう。玉露の時のようにぬるいお湯でも淹れてみましょう。もしかするとダンアロマよりもっと美味しい紅茶が淹れられるかもしれませんよ。私が紅茶の本を読んでいて、「う〜ん?」と思うことは、まだまだいっぱいあります。本に書いてある常識よりも、書いていない非常識なお話をもっとお聞きになりたい方はぜひご来店ください。お待ち致しております。

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