| 第十六話 「深煎り珈琲?〜焙煎」 パートV |
| 皆様こんにちは、東京の週末は「お花見」のピークでしたが、皆様は楽しまれましたか。桜も、この間咲き始めたかと思えば、もう散りはじめていますね。文字通り、花の命は短いです。珈琲豆も美味しいときは短いのですよ。焙煎してから、豆の状態で約2〜3週間、挽いて粉にすると3日の命です。貴方のキッチンにある珈琲豆は大丈夫ですか? さて前回、焙煎には8段階の焼き方があるといいました。早速、その時間と焼き具合、そして味の傾向を見ていきましょう。 焙煎をはじめてから時間経過が 約16分 ライトロースト・・・甘い香りは漂うが、味はほとんどない。 約18分 シナモンロースト・・・まだ苦味はなく、酸味を生かしたい豆向き。 その名の通り肉桂(シナモン)に近い色。 約21分 ミディアムロースト・・・アメリカンローストともいう。酸味が主役の アメリカンタイプのガブ飲み向き。 約23分 ハイロースト・・・酸味が落ち着き、苦味、甘味が登場、 バランスが取れてくる。 約25分 シティーロースト・・・ジャーマンローストともいう。バランスも良く 力強さが感じられるようになる。 約26分 フルシティーロースト・・・酸味は影をひそめてきて、 苦味とコクは美味しさのピークを迎える。 約27分 フレンチロースト・・・酸味は感じられず、苦味が強くなる。 重みもでてくるので、クリームを加えて飲む ヨーロッパスタイル向き。 約28分 イタリアンロースト・・・エスプレッソのように苦味の極みとなる。 豆によっては中身のないフラットな味となり 焦げ臭さが鼻につく。 以上、豆の状態や諸条件によっても変わりますが、だいたいこのような感じになります。 今回のテーマにもなっている「深煎り」とは、フレンチロースト〜イタリアンローストの辺りですね。 かつて私も「深煎り」の強い苦味と、焦げたようなスモーキーな香りにとりつかれましたが、今では「深煎り」をほとんどやめてしまいました。 その理由として、強い苦味はあるのですが、単純な味でコクがなく、豆本来の香りが、スモーキーで焦げたような香りに負けてしまう、といったことを感じるようになったからです。 よく「深煎り」は「コク」があると言う方がいらしゃいます。本当にそうなのでしょうか。 実際、私もそう思っていたころがありました。しかし「コク」と「コイ」(濃い)は違うということに気づきはじめたのです。 どんなに「濃く」淹れても「コク」がないのです。 どういう事かといえば、料理でも何でもそうだと思いますが、「コク」というのは、色々な味が感じられて「深み」や「奥行き」があることをいうのだと思います。料理評論家の方々も良く言うじゃないですか。「まったりとして、なんともいえずいろいろな味が、深みと奥行きを演出してますね。う〜ん、すばらしい!」なんて。 焙煎段階のところでも説明しましたが、良質な酸味や風味を持つ豆も深く焼いてしまうと、苦味だけになってしまいます。要するに、焼けば焼くほど炭に近づくわけですから、珈琲豆の中身は蒸発し消えて行くというわけですね。 例えばブルーマウンテン、良質な香りと酸味を持つこの豆は、普通の南米産の豆と比べると、仕入れ値に約10倍の開きがあります。そんなブルーマウンテンですが、深焼きにすると、10分の1程度の豆と何ら変わらない味になってしまいます。 また、豆の量を増やせばいくらでも「濃く」淹れることは可能です。しかし、すでに焙煎によって失われてしまった中身は、どのように淹れても取り戻すことは出来ず、単純な味になってしまいます。つまり強い苦味以外なにも感じられなくなるのです。 「う〜ん、甘味と苦味が混じり合い、まるでビターチョコレートようで、それをほのかな酸味が後押しをし、何とも言えない複雑な味が口いっぱいに広がるね〜」なんてことは言えなくなるのですね。 香りについても同じことが言えると思います。豆による香りの違いもスモーキーな焦げた香りが鼻について、分からなくなってしまいます。 だいたい以上のようなことから(他にも色々あるのですが)、ダンアロマは豆の風味と特徴を生かすことを第一に考えた焙煎度合いになりました。それぞれの豆に合った焙煎をしなくてはならないので、手間は大変ですが、そのお陰で、私自身「へえ〜この豆にはこんなに色々な味と香りがあったんだな〜」と感動させられることも多くありました。 さて、第十四話の「深煎り」についての意見が両極端だという件ですが、肯定派の方はきっと、インパクトのある強い苦味とスモーキーな香りが癖になってしまったのでしょうね。そのような方は、たとえどのような珈琲を飲もうとも深煎りでなくてはあの味と香りは味わえず、きっと物足りなく感じることでしょう。 反対に否定派の方は、それぞれの珈琲の持ち味や風味を楽しもうとしても「深煎り」特有の苦味や香りが先に立ってダメだと言う方なのでしょうね。 この2つは全く相反することですので、好きな方と嫌いな方が両極端に分かれてしまうのは仕方のないことだと思います。 このように、焙煎という作業は珈琲の味を大きく変えてしまう、非常に大切なものです。皆様が見て、手にする珈琲豆は、すでに焙煎してあるものがほとんどでしょうから、今一つピンとこないと思いますが、これまで銘柄のみで選んでいた方は、焙煎による味の違いも考えていかれると、もっと珈琲の世界が広がりますよ。では、、、。 |
Copyright(C)1999, DUN AROMA,All rights reserved